>> ●「満月&絵本メイキングの日々」
夭折
2005年11月04日
 紅葉は、温暖化のため二週間遅れになっているそうです。
 わたしの部屋から見える桜も色づいてきましたが、外の景色はまだまだかなあ。今日は8キロ歩く。


 猫ヤン14才♀、家を出ようとすると付いてくるが、出てしまうと勝手なことしかしない。呼んでも振り向かず…。
 

 人の家の庭は、相変わらず美味しそうです。

 ススキがどんどん生えてきます。

 

 
2005年11月05日
 京友禅のキティちゃん、100万円。
 生絹に京友禅と手描き友禅、京都の金彩を施す仕上げ。西陣織 本鼈甲頭飾り・桐製DPケース入り。
非売品だけれど、100万でも売れば売れてしまうんだろうなあ。
 これをかわいい! と思う自分がなんかいや〜。
日本が世界に誇れるものは、こういうところなんだとは思う。かわいいロボットをつくってみたり…。
でも、この国民性をときどき鬱陶しいと思うのはわたしだけでしょうか?

 フランスでは暴動が起きている。
 日本では娘が母親に薬を盛る。
 日本はこれでいいのかなあ…。
2005年11月06日
 本田美奈子さんが亡くなった。

 ルックスが妹に似ているのと、「1986年のマリリン」をよく歌わせて貰った(^ ^)のとで、他人のような気がしなくて、昨日も臍帯血の記事を読みながら思い出していた。
本当に亡くなってしまったんだねえ。38才なんて、勿体ないねえ。
 臍帯血移植で治ると思っていたのになあ…。

 謹んで、ご冥福をお祈りいたします。
2005年11月08日
 兄がオヤジ狩りにあった。
 一昨日会ったときは元気だったが、あまりに痩せたのと雰囲気が変わったので、なんか変だなと思っていたら…。
二週間前に新宿ドンキホーテの前で、やられたそうだ。
 ゴールデン街で二十年も商売をやっている兄には庭のようなもの。
「危ないから、人の迷惑考えなきゃだめだぞ」
 といった一言が、凶器と化したらしい。
 いきなり交通整理の車止めで後頭部を殴打されて意識を失い、ボコボコに…昼なので通行人が救急車と警察を呼んだようだ。
 幸い脳に異常は無かったが、後頭部と顔をたくさん縫い鼻は折れ…。そうとうショックだったようで、元気そうに振る舞ってはいるが痩せていくらしい。
 街の防犯カメラに現場は写っているが、犯人を捜すのは難しいようだ。新宿の若者はどんどん悪くなっていく。
 バブルの終わり頃から、いつか、こんなことが起きなきゃいいけど…と思っていたことが現実になってしまった。

 今どきは死なないとニュースにもならない、こんな事件は日常茶飯事なのだろう。
 こんなことが多いと、兄のような巷のいい人…お節介なオヤジが、お節介をしなくなる。
 大人が誰も相手をしなければ、愛を知らないまま大人になった若者達はいよいよ救われない。
 愛が足りない、居場所がない…だけど彼らには、悲しいかな愛を受け取る文化がない。
 暴徒化する若者たちを止められそうもない。夜回り先生のような人が何万人も必要な気がする。

 愛を得るには、媚びたりセックスしたり征服したりする前に、お互いの人生や文化を理解したり共有しようとする姿勢が大事なのだと、わたしはこのサイトでさえなかなか伝えられないでいる。
 わたしのお節介もなんだかなあ。
2005年11月9日
 サロン満月のオフ会。
 新宿区役所前で待ち合わせて、酉の市の新宿花園神社へ。
 昼の二時というのにけっこうな人で賑わっていた。神社の境内のテントの焼鳥屋でサワーを飲む。
 なにを話したかは内緒。大人の恋ばな…。

 酉の市といえば、熊手、わたしのお気に入りは、お多福の顔がついているの。儲かりそうでしょ。
 残念ながら、今回は集まりが悪くて、二時間でお開きとなった。

 兄に飲ませようとナボリン(神経の痛みに効くのよ)を買ったのでG街をうろつく。
寒いし、なんだか落ち込んでしかたがない…。

 まずはシラムレン。わたしの原点。21年前このJAZZバーで週一日バイトしていた。
 茂さんに珈琲を入れて貰いながら世間話…。
 今は亡きペコちゃんの話を聞く。お世話になった人がどんどんいなくなるなあ。
 お客さんが入ってきて手持ちぶさたになったので、焼酎のお湯わりを飲む。

 ナマステに瞬間移動。焼酎を飲みながらミーコさんに愚痴る。

 兄の新しい店を探したけれど分からずに困っていたら、TさんとMさんが通りかかる。
「若いヤツに言葉が通じなくて自信なくしてんだよ」といったら、「俺もだ」「俺もだ」と二人がいうので三人で飲むことに…。
 商売歴40年以上の怖い怖い店を巡り、怖い怖いママたちを肴に呑む。

 いろいろ話していたら、昨年わたしが入院するまで面倒を見ていたリョウという女の子が死んだことを知った。
リョウには出来ることはした。あれ以上やれといわれても出来ないことは分かっているので後悔はないが、死なれては痛い。三十半ばだった。
 今はやすらかか? もう、怖いことはないか?
 命はどうしてここまで軽くなったんだろう…。

 音楽ライターのNが混ざったので、リョウにいっていたのと同じ話を繰り返す。
 傷つきたくないだけじゃ生きていけない。楽しめ! 泣け! 怒れ! 喜べ! 闘え!
 なんでこんなことが伝わらないんだ? わからなきゃ君もそのうち死ぬんだよ。

 あああ、オヤジなことをやっていたら、朝になっちまった。
「お前にはヘタレて欲しくないんだ」とTさんにいわれるが、自信ないんだあ、オレ…。でも、とりあえず気持は決まる。わたしのやることは一つ。闘うのさ、愛とセックスのために。

 家に帰ったら、電気カーペットが壊れてる。これから冬なのに…。
 チキショウ! 負けるもんか!


2005年11月14日
 寒いのと、足下に蹲るヤン(ここが所定の位置なのね)に「なんで温かくしないんだ」と怒られるので、ホットカーペットを買う。ヨドバシコムをクリック、送料込みで、7480円。便利だなあ。壊れたのは2万いくらだったのに、安くなったのね。

 夕方、散歩のついでに駅に置きっぱなしのチャリンコをとりに行こうとして迷路に入る。暗いしなにもかもが腹立たしい。新宿の若者のこと、そして、リョウのことがどうしても頭を巡る。

 「男がやってやらないからいけないんだよ。だから女の子はどうしていいかわからなくなっちゃうんだ」
とTはいった。わたしもそう思う。
 そうさ、妙齢の女性たちからどうしようもなく愛とセックスが抜け落ちているのさ。
あいつもそいつもこいつもそうなのさ。生きてることに意味を持てずにカラカラ空回りしているのさ。

 人は誰しも自分が特別な存在であることを確かめたい。自分が生きていてもいいことを確かめたい。だから、恋をする。セックスする。愛を育もうとする。
 整形してエステにいって着飾っているだけじゃダメさ。自分で行動を起こさなければ、どんな美女も才女もなんの価値もない。生きていくために必要なのは総体評価じゃないの、絶対評価なの。
 社会の価値に身を委ねて、個人の価値観で何かを選択できなければ、命が希薄になっていくばかり…負け犬の辛さはそこにあるんだね。のめり込める何かを獲得するか、男をつくるかしないと辛い。この際、愛人でもいいよ。
 でも、それで、まさか死ぬとは…いや死ぬんだ…自殺もしないのにリョウは死んだ。

 リョウは弱い子ではなかった。寧ろ強かったし、しっかりしていた。けれど、わたしが知り合ったときには、不定愁訴に陥って病院巡りをしていた。妙齢の女性によくあるアイデンティティクライシスだった…こういう娘に必要なのは仕事や趣味じゃなくて、一人の男の情熱的な愛とセックスなのだといったら、どこかのフェミニズム団体から怒られるだろうか? だって、本人は仕事なんて、もうしたくなかったんだよ。休みたかったんだよ。わたしはこの娘から仕事の相談を受けていたのだった。

 リョウを散歩に連れ出したとき、若い頃何になりたいと思ってた? と尋ねたら、「愛人になりたかった」と答えた。そのための努力もしなかったわけではなかった。クラブで働きながら、愛人の口を探したりもしていた。巡り巡って、愛人の口も見つかったのだが、すでにバブルが崩壊して愛人の値段も下がり、自分で稼げる程度のお金ならイヤだと蹴ってしまったらしい。愛人になっていたら長生きしたのかな?

 リョウと散歩しながら、どうしたらこの子は本当に笑うんだろう?と考えていたが、男の話をさせたら嬉しそうによく笑った。だからまだ脈があるんじゃないかと考えていた、あの日のわたしは甘かった。
 散々歩き回って夕方になり、居酒屋に入って「結婚はする気はないの?」と聞いたら、「ダメなの」といって泣いた。
「もし壊れたら耐えられないから、結婚はダメなの」
「壊れたら耐えられないと思うのは、本当はそれが大切だからじゃないの?」
「そうかな…」
 リョウの生家は凄まじいDVの家庭だった。リョウは母親から虐待を受け、子供の頃は親戚の家に逃げ回り、中学生になると同級生の家庭で暮らした…そんな話をしながらリョウは瀧のように泣いたが、リョウに取り憑いている恐怖は、泣いたくらいでは解決しないのをわたしは悟っていた。PTSDの治療が必要だとも思っていた。時間もかかるだろうと…。
 
 リョウに関して後悔はないというのは嘘だ。原稿に追われて何もできず、わたしは自分の頭の蠅さえ追えない人間なのだと思い知っていたに過ぎない。それが紛れもない事実なのだし、自分のできることに限りがあることを悩んでさえいた。

 あれはまだ春のことだった。ゴールデン街でリョウにきかれた。
「満月さんはみんなに頼られてばかりで辛くないですか? 満月さんが人に頼ることってあるんですか?」
 ゴールデン街ではなぜかなんだかんだ面倒を引き受けて、いつも確かにうっとうしかった…いい加減にしてほしいよ。わたしは疲れてんだよ! なんてことになりがちなので、
「そうね、頼られちゃってる事の方が多いかな…」
 なんて答えてしまったよ。あれは嘘だよ、リョウちゃん。
 わたしは甘ったれな人間なんだよ。だから、なんとかして自分を甘やかしてくれる場所をつくる。愛を見いだすし、これでも受け入れて貰う努力もしてるんだよ。
 夢を見ること、人を好きになること、恋をすること、愛を知ること、仕事をすること…すべては自分を大切に感じるためさ。
 人は誰も人を救えないが、愛に癒される。わたしはたくさんの愛に出会ったんだよ。
 愛がなくては生きていけないことを知っているから、愛することだってする。だから大人なんだよ。
 わたしは自分も頼りたいから頼らせていたんだよ。

「大人なんかどこにもいないじゃないか! わたしは一人でとんでもなく苦労して、こんなに辛いのに、こんな風に生きてていいんですか? まだ大人にならなきゃいけないですか?」
 あのとき、そういいたかったんだよね。あんなことをいってはいけなかったね。いつもいつも大人のフリをしていたら辛いよね。もともと大人なんだから、それ以上、大人になれなんていったて、辛いだけよね。

 なんでこの話ができなかったんだろう? 愛も当たり前になると語らなくなるな。
「愛を語ろう」をテーマにしてきた筈なのに…。
 そのとき語らなきゃ意味無いじゃないか! いつも語らなきゃダメじゃないか。
 わたしは孤独に見えるんだろうけど、困ったな。物書きの孤独と人間としての孤独は別物なんだよ。
 愛があってもあっても、エゴイストなわたし…。
 でも、愛がなかったら文章なんて書かない。いや書けない。
 いつだって大切なのは、愛とセックスさ。
 
 その後、リョウはわたしの古い友達のHを好きだというので、Hに打診したところ、乗り気なので安心していた。なにしろリョウは美人なので、「励ましてあげてよ」というと男はみんな喜んだ。リョウにはときどき「Hと結婚しろ」と入れ知恵した。仲良く連れ立って出かけるのを何度か見かけたし、秋にはHがらみのことで明るい電話を貰った。
 わたしは入院してしまったが、二人は上手くいっていて、そろそろ幸せになる頃だと思っていた…。

 Hとはどうなったんだろう? どうしてリョウはいつまでもいつまでも孤独の縁を彷徨っていたんだろう?
 奥歯を食いしばる悪い癖が出てきて顎が痛む。

2005年11月16日
 気持を入れ替えて6キロ歩く。
 空は青く、

 落ち葉は赤く

    
 荒んだ心が洗われていく…。


 

 Produced by 満月